バイクのキーシリンダーは、少ないものであればON-OFFの2点、ハンドルロックも加えたON-OFF-LOCKの3点が一般的かと思います。
多くてもこれにパーキングを加えたP-ON-OFF-LOCKの4点でしょう。
しかしスズキのACROSS250はこれにメットインの開放、更に燃料給油口の開放を加えたOPEN-ON-FUEL-OFF-LOCK-Pの6点ポジションがあります。
しかもOPENからOFFまでは30度刻みです、割りと細かいです。
もちろんシリンダーに各ポジションがちゃんと印字がされていますが、現在私のバイクはこの状態です。
うっすら文字が見えるかと思います、写真では分かりづらいかと思いますが現物も分かりづらいです。
せめて彫り込みにしてくれればチョークでも塗り込むのですが文字が浮き出てるタイプです、面倒です。
プリンターでそれっぽいステッカーを印刷してラミネートして貼っていましたが、雨と紫外線であっという間に劣化しました。
ならばということで3Dプリンターでそれっぽいものを作ってみました。
Inkscapeで文字を書く
今回のメインとなる文字はInkscapeを使用して書きました。
曲線上に文字データを配置することができ、印字した文字をパスに変換すればFreeCADに取り込むこともできます。
- シリンダーの原寸サイズ(今回であれば半径30mm)に収まるように、文字を納める補助線となる円のパスを作成。
- ピンと来るフォントを探し当て印字したい文字を入力。(今回は「Bahnschrift」というフォントを使用)
- 1のパスと2のテキストを選択し、「テキストをパス上に配置」を選択。
- 円のパスを回転・テキストにスペースを入れて全体の位置をざっくりと調整し、フォントのサイズ・太字・文字幅・文字間幅を微調整する。
- 文字をパスに変換する前に一旦保存し、パス変換用にファイルをコピーする。
- テキストをすべて選択し、「オブジェクトをパスへ」を選択。
- それぞれのパスに切れがない、閉じたパスになっていることを確認する。
- 名前をつけて保存でファイルの種類を「プレーンSVG」を選択し保存する。
注意点
- 文字をパス変換していない場合、FreeCAD側では線データではなくTEXTデータとして扱われるようです。Inkscape側で良さげなフォントを見つけて使用してもFreeCAD側にそのフォントがない場合は何も表示してくれません。
- 7で閉じたパスになっていない場合、FreeCAD側で面データに変換できません。閉じていなければ「統合」でパスを閉じる。「統合」でうまくいかない場合は「分解」「結合」「パスをカット」などを使用してパスを加工し、最終的には「統合」で一つの閉じたパスになるよう頑張る。
- 7が面倒であればとりあえず次のFreeCADに進み、面データが作成できない文字があればこの工程に戻ってくるのもあり。
FreeCADに取り込む
今回はオリジナルリスペクトで黒地に白文字を浮き出すようにします。
- 「ファイル」「インポート」より先程保存したファイルを選択し、「SVG as geometry」を選択し取り込む。
- 文字を曲線状に配置するための補助線など、不要なパスを削除する。
- 「Draft」を開き、「↑」矢印のコマンドで閉じたパスを面データに変換する。
- 「Part」を開き、面データを全て選択し「選択したスケッチを押し出し」コマンドで立体化する。
- 「O」「P」などのくり抜きが必要なデータはここで減算処理でくり抜く。
- ドーナツ状のプレートを作成し文字をいい感じに配置して完成。
注意点
- 閉じたパスを面データに変換する際、既に中が黒く塗りつぶされているパスと文字データのパスは分けて変換すること。(全て一気に変換しようとしても何故かうまくいかない)
- 押し出しでうまく立体にならない(面ではなく線が押し出されている)場合、閉じたパスになっていないと思われるため、Inkscapeの手順7に戻る
Curaスライサーでgcodeへ
今回は以下の設定で出力した。
- 0.2mmノズルを使用
- 印刷速度20mm/s
- ビルドプレート接着タイプはブリム
出力結果
3Dプリンターからの出力物にそこらへんにあったシャシーコートブラックを吹き付けて、紙やすりで文字部分の塗装だけ剥いだものがこちらです。
さすがに矢印の中のPは小さすぎたようです、潰れています。
まあ100点ではないですがとりあえず見やすくなったのでヨシということで。