九州電力が新たに「おひさま昼トクプラン」なるものを発表しました。
昼間の10時~16時の電力単価を安くして、この時間帯にエコキュートの沸きあげや蓄電池の充電をして下さいねというプランのようです。
九州は特に太陽光が普及しきっており、晴れた日のJEPXスポット市場(30分ごとの電気の市場価格)は極端に安くなってしまうこともありますので、その調整のために昼間に使ってほしいという意図は理解できます。
ではプラン変更した場合に電気代がどうなるか、実際のところはやってみないと分からない話ではありますが、ざっくりと試算をしてみました。
※あくまで家電が多い我が家での試算です。試算は各々の家庭で行う必要があることをご留意ください。
前提条件
以下が我が家の状況です。
深夜にはエコキュートの他に、エアコン・衣類乾燥機や食洗機、朝方には炊飯器等が稼働しているために夜間の使用量が増えているものと思われます。
試算方法
- 電力会社のWEBページにて、指定した日の0時台~23時台の1時間毎の電力使用量を見ることができるため、こちらのデータを使用します。
- 春夏秋冬のそれぞれの季節にて、祝日の無い一週間を無作為に選び、日曜から土曜までの7日間の1時間毎の電力量を表計算ソフトに全てコピペします。
- 1時間毎に深夜電力プランの場合の電気代、昼トクプランの場合の電気代を全て表計算します。
- 昼得プランにした時はエコキュートを昼間沸きあげに変更しますが、過去の電力量データは夜間沸きあげしているためそのままでは比較できません。今回は以下※の式より、とりあえず試算した昼得プランの一日の合計電気代を約-50円して深夜電力プランと比較します。
※エコキュートの消費電力を5kWhと想定します。(気温により変動しますが)
昼得プランにした場合、夜間沸きあげをやめるため、5kWh×昼トクプラン深夜単価約18円を引く。
昼間沸きあげとするため、一週間のうち5日は晴れて7円/kWhで売電する予定の太陽光電力を使用、2日は曇りで13円/kWh前後で買電するものとして、5kWh×平均8円弱の電気を昼間沸きあげに使ったものとする。
-(5kWh×18円) + (5kWh×8円) = -50円
実際に春の一週間分について計算したものがこちらです。
これと同じものを夏・秋・冬も作ります。
試算結果
試算したデータより、季節ごとに深夜電力プランと昼得プランを比較しました。
縦軸は試算した各曜日の一日トータルの電気代です。
まずは春です。
平日は昼トクプランが得、休日は深夜電力プランが得となりました。
一週間トータルでの差が0.84円のためほぼ誤差と言えます。
春は昼得プランのシフトタイムでも発電するため、昼得プランの昼間料金は抑えられますが、夜間の単価や深夜電力プランより若干上がるため、土日で衣類乾燥機を回した際に電気代の上昇が見られたと考えています。
次は夏です。
太陽光発電に関しては春と同じですが、夜間の電気使用量そのものが春よりも少ないため、昼得プランのほうが得する結果となりました。
エコキュートや衣類乾燥機(ドラムのヒートポンプ式)の消費電力低下、抽出した日付がほぼ晴れで昼間購入した電気がかなり少ないが要因ではないかと考えています。
一週間トータルの差は昼トクプランが213円安くなりました。
次に秋です。
平日はそれほど差が見られず、休日は深夜電力が得する結果となりました。
11月中旬のデータを取ったため、気温がある程度下がることによって夜間の電力量が増えたことが影響しているのではと考えています。
一週間トータルの差は昼トクプランが113円高くなりました。
最後に冬です。
一週間の全て昼得プランのほうが高くなってしまいました。
冬は太陽光の発電量が落ちるため、シフトタイムに購入する電気が増えたこと、夜間の電気使用量も増えていることが要因ではないかと考えています。
一週間トータルの差は昼トクプランが527円高くなりました。
総評
今回の試算では、あくまで我が家の各季節1週間のデータによるものですが、昼得プランへの変更は夏は得・冬は損という結果になりました。
我が家は夜間の電気使用量が多いため、昼得プランの深夜単価上昇が電気代に現れたものと考えていますが、夜間の使用量が低いご家庭であれば昼得プランのほうがメリットも出るのではと考えています。
ただし、太陽光がFIT期間中の場合は要注意です。
今回はFIT終了後の売電7円/kWhの電気でエコキュートを動かすものとして試算しました。
FIT期間中であれば、例えば昼間14円前後で電気が買えるのに、売電20円/kWh程度で売れるはずの電気でエコキュートを動かすことになります。
(売電価格20円で試算すると、夏場でも深夜電力プランのほうが良いという結果になりました)
太陽光の発電量・パネルの向き・電気の使用量など、個々の家庭によって計算する必要があるかと思いますが、FIT期間中の方は計算したうえでプラン変更を検討することをおすすめします。